
兵庫県大生の大学生活をよりよくするヒント集、「県大Tips」。 今回のテーマは、留学プログラムです。語学力・時間・費用など、気になるポイントがあれこれある留学ですが、渡航先から帰ってきた先輩たちはすごく充実した表情をしています。「行きたいのは山々だけど就職活動があるし」「卒業が遅れるとお金が余計にかかるから」、と気持ちに蓋をしているみなさん。すぐにあきらめず、自分に合ったプログラムを探してみませんか? そもそもどんなプログラムが用意されているのか、どうやって留学のハードルを越えていけばいいのか。留学や国際交流のプログラムで学生をサポートしている兵庫県立大学・教育企画部国際交流推進課の別所早織さんにお聞きしました。
ゲスト:別所早織(国際交流推進課) / 聞き手:1460編集部
短期あり、長期あり。学修の目的に沿ったプログラム選び。
編集部:さっそくですが、兵庫県立大学にはどのような留学プログラムがあるのか教えてください。
別所:長期であれば、「交換留学」。短期であれば、「語学研修」「短期研修」「GLEP海外プログラム」があります。「交換留学」は4~12ヵ月に渡って、協定を締結している海外の大学へ留学し、現地の学生と正規の授業が受講できます。「語学研修」は春休み・夏休みの3~4週間を利用して、海外の文化や生活を体感しながら語学力を向上できるプログラム。「短期研修」は1~4週間、語学プログラムに加えて、課題研究や現地の文化・歴史を学ぶフィールドトリップなど、幅広い分野の授業が受講できます。
編集部:「GLEP海外プログラム」とはどのようなものですか?
別所:兵庫県立大学には所属学部の主専攻とは異なる副専攻プログラムがあって、その1つが「グローバルリーダー教育プログラム(GLEP)」です。「GLEP海外プログラム」では「グローバルプロジェクト入門」という1~2週間の海外研修と、4~6週間の「海外実務体験」を用意しています。前者はGLEP履修者の必修科目ですが、定員に達しない場合は履修していない学生も応募できるプログラムで、現地学生との交流・途上国支援のNPO活動・企業訪問など、研修内容は派遣国によって様々。後者はGLEPの2~4年生だけが参加できて、兵庫県の海外事務所や海外の大学・企業で就業体験を行います。
編集部:留学や副専攻など、専門分野にとらわれない多彩な学びの場が用意されているんですね。
別所:ありがたいことに、そうした点をメリットに感じて兵庫県立大学を選んでくれる学生が増えているようです。偏差値を基準に大学を受験するだけではなく、入学後の学びの幅を意識しているのかもしれません。交換留学の協定校も少しずつ増えていて、現在はアメリカ・オーストラリア・韓国・タイ・台湾・中国・フランス・ルーマニアに派遣先の大学が14校あります。

まずは、情報収集から始めよう!
編集部:留学に行きたいと思ったら、何から始めればいいでしょうか?
別所:まずは、情報収集ですね。自分に適したプログラムや大学を選ぶなら、ぜひ国際交流センターのスタッフに気軽に相談してもらえればと思います。プログラムの概要をまとめたパンフレットをお渡しして、派遣先の詳細や奨学金についても情報を提供します。また、交換留学を考えている場合は、気になる協定校のホームページでシラバスを見て、勉強したい分野の科目があるかどうか、調べてみることをお勧めします。卒業時期にも関わってくるので、兵庫県立大学の単位として認定され、単位互換できる授業なのか、あわせてチェックしておくことも重要です。協定校のホームページには、キャンパスの写真や動画も載っているので、大学の雰囲気も感じられるはず。自分がその大学で学ぶイメージを膨らませることも、留学への1つの大きなステップです。

編集部:留学を体験した学生からアドバイスをもらう機会もあるのでしょうか?
別所:大学のホームページには交換留学を経験した学生の「帰国後報告書」が掲載されていて、体験談に加えて細かい費用のことも記されているので参考になります。それと、毎年春と秋に「留学フェア」を開催していて、参加者はプログラムの内容や応募方法を確認したり、経験者の話を聞いたりすることができます。前回は交換留学でフランスのギュスターヴ・エッフェル大学に行っていた学生が、写真もたくさん見せながら魅力を伝えてくれました。パリへの憧れもあってか、参加した学生はみなさん目がキラキラしていましたよ。

交換留学の準備は、いつからするべき?
編集部:交換留学は応募にあたって特に準備が必要そうですが、注意すべきことは何かありますか?
別所:まずは、応募スケジュールと選考内容の把握でしょうか。交換留学は年に2回、募集があります。前期は、5~6月募集で翌年春に出発。後期は、12月募集で翌年秋(一部、スケジュールが異なる協定校があります)に出発。出願後に書類選考とオンラインの面接があって、各学部の国際交流推進委員の先生方が選考を行います。見られるポイントとしては、留学する目的、関心を持っていること、将来の目標、留学先で学びたいこと、兵庫県立大学での成績評価値(GPA)、語学スコアなどがあります。
編集部:兵庫県立大学での成績も評価されるということは、1年生のときから積極的に学業に励まないといけませんね。
別所:兵庫県立大学を代表して派遣されるので、日頃から学ぶモチベーションが高いかどうかはしっかりみられます。語学要件として「TOEFL iBT」「IELTS」などのスコアが必要になるので、早めに準備を進めてもらえたらと。国際交流センターの本棚には、外国語学習や試験対策の参考書、旅行ガイドブックを置いていて閲覧もできますし、貸し出しも行っています。ぜひ、活用してもらいたいです。


留学も、就職も、卒業も、あきらめない方法を探してみよう
編集部:学生のみなさんからは、どのような相談事が多いですか?
別所:留学・就職活動・卒業の時期について、それと留学の費用について悩む学生が多い印象です。留学相談では、匿名で過去のパターンを紹介して参考にしてもらいますが、基本的に学修計画に関しては学務課、就職活動に関してはキャリアセンターの窓口で相談するように案内しています。交換留学では学費は兵庫県立大学のみに支払うことになるとはいえ、一番費用のかかるアメリカですと、寮費を含めて年間200万円ほどかかります(2021年度派遣時)。
編集部:費用負担を抑えるにはどうすればいいでしょうか?
別所:やはり、奨学金を受けることですね。政府・地方公共団体に加え、民間企業・団体が実施する奨学金制度もあるので、自分が応募できる先を複数調べておくといいと思います。出身地の地方公共団体が用意している奨学金もあります。また、派遣先によっては留学の期間を1学期間だけにする、という選択肢もあります。中国や台湾はアメリカに比べて奨学金制度が少なめですが、渡航・滞在の費用は抑えられますし、留学期間を選べるようになっています。留学プログラムパンフレット『GO GLOBAL』の「交換留学体験談」のページには、先輩方のかかった費用も掲載していますので参考にしてください。

編集部:そうした選択肢があるなら、交換留学を完全にあきらめなくてもよくなるかもしれませんね。交換留学に1年間行く場合、大学を4年間で卒業するのは難しいことですか?
別所:現状、卒業を1年遅らせる学生の方が割合としては多いですが、4年間で卒業することも可能です。交換留学は3年次に参加する人が多いのですが、就職活動の時期に間に合わせるために2年次に行く学生も徐々に増えてきています。その場合、1年次に決断して申し込む必要があるので、入学前から留学を視野に入れておいたほうがいいですね。アメリカのボストンキャリアフォーラムなど現地の就職イベントに参加した学生もいますし、オンラインで日本企業の説明会や面接に参加する学生もいるので、自分に適した交換留学・卒業・就職の時期や方法をぜひ見つけてほしいです。
留学への道のりをサポートしてくれる人たち
編集部:渡航前の交換留学生には、どのようなサポートを行っていますか?
別所:ビザの申請や航空券、留学先の宿舎の手続き、保険への加入などは基本的に学生に行ってもらいますが、私たちスタッフも学生と連絡を密に取って、無事に完了しているのかを確認しています。本学で行われる「出発前オリエンテーション」では、現地での安全対策や危機管理についてもきちんと伝えて送り出します。留学先の大学にもプログラムの担当者がいますので、心身ともに何か困っていることがあれば相談に乗ってくれます。

編集部:双方の大学にケアしてくれるスタッフがいるのは、心強いですね。最後に、留学に興味がある学生のみなさんにメッセージをお願いします。
別所:留学先では苦い経験もあるはずですが、帰ってきた学生に感想を聞くと「行ってよかった!」と成長した姿で答えてくれます。留学はほとんどの人が初めてなので高い壁のように思えますが、そのハードルを下げるために私たちスタッフがいます。迷っている人も、自信がない人も、ぜひ相談に来てください。大学公式サイトの予約フォームから申し込んでいただければ、対面・Zoomミーティング・電話などで相談が可能です。相談したうえで、留学に行かないというのも1つの決断ですし。国際交流センターでは、国際交流・国際コミュニケーション力の向上・多文化理解を軸に、様々なプログラムやイベントを企画しているので、まずは学内で参加できるプログラムで自分の興味や関心を見つめていくのもいいかもしれません。短期の語学研修に参加してから長期の交換留学にトライする学生もいるので、それぞれに合ったステップで進んでみてください。悩みを話すだけでも大きな一歩ですので、気軽に国際交流センターに来てもらえたら。それだけで、きっと何かが変わるはずです。
関連リンク
お役立ちリンク集
海外留学奨学金検索サイト – 日本学生支援機構(JASSO)